先日、ある会社から幹部研修のご依頼をいただいた。
研修テーマは意識革新であり、業績や目標必達に向け
責任感が強い幹部への成長を促したいというものであった。
様々な角度からご提案をし、カリキュラムのひとつが
「プロ野球選手イチローに学ぶ」という取り組みであった。
受講の方全員に事前準備段階から入念に取り組んでいただき、
イチロー選手の書籍はもとより雑誌・インタビュー記事・
TVのドキュメンタリー・親しい方々の声等を
持ち寄っていただいた。
その中でやはり注目が集まったのが、
イチロー選手のメンタル面の強さである。
その輝かしい栄冠や類まれなる精神力は
一体どこから生まれ出るものなのか。
目標(ロマン・夢)に対する
モチベーションや執念というものの原点は何であるのか。
昔よくありがちで、しかしながら効果的でなかった根性論・
精神論とは何が別次元なのか。
その中で際立ってきたのが、
イチロー選手のプレッシャーに対するこころの姿勢だ。
それは「重圧がかかる選手であることを誇りに想う」と
確信を持って語るイチロー選手の言葉に代表される。
研修ではイチロー選手のメンタル面を探求すると共に、
さらに受講生自身のメンタルを掘り下げる取り組みも深めていった。
「『プレッシャー』という言葉や状況を心にイメージした時、
その後にどのような言葉が続きますか?」というものだった。
「例題として、「本」であれば、本を読む、本を買う、本を借りる
等々が出ますが、『プレッシャー』ではどうでしょうか?」
という具合だ。
受講生からの意見は、
プレッシャーをはねのける
プレッシャーに打ち克つ
プレッシャーに立ち向かう
プレッシャーを無くす・減らす
等々。
一通り意見が出尽くした所で、
「イチロー選手であれば、どのような言葉が出るだろうか」
と問い掛けてみた。
これに対しても多くの意見が出たが、受講生が得心したのは、
「プレッシャーを楽しむ」
というものであった。
そして受講生自身とイチローのメンタル面を対比し、
何となく落差を感じる中で、こころの姿勢が大きく違うことが
くっきりと浮かび上がってきたのだ。
意識の違いが成果の違いに色濃く影響を与えていることを、
それぞれの受講生が自分ごととして感じる研修会であった。
もちろん、研修の後半では、一人ひとりが
具体的にどの様な行動を起こし徹底するのかを決意したのは
言うまでもない。
プレッシャーや重圧というテーマを深めるきっかけを得て、
この研修会後さらに二つのことに取り組んでみた。
一つは、プレッシャーという言葉と同じ種類の言葉
−− 我々がともすれば悪いものとして避けたり遠ざけているもの−−
を探してみた。
同じ立場にある幹部職の方や経営者や、
組織のリーダーに伺ってみると、
不安・緊張・抵抗・失敗といった言葉はもとより、
ストレス・責任・困難・孤独・誘惑等々の意見が集まった。
二つ目は、プレッシャーをどのような時に感じるか、
そのプレッシャーが膨らむ時の状況を探った。
業績が未達で読みきれていない時
新しい取り組みをする時
部下が離職をした時
成果や成功を強く強く求められた時
これも実に多くの実例や言葉が収集できた。
この事例研究の取り組みが、
一人ひとりにとってプレッシャーという言葉を
さらに身近なものにした様に想う。
「プレッシャーを楽しむ」というものを、
単にイチロー選手のこととして、
野球の世界のこととして見るだけではもったいない。
我々のビジネスや生活上の言葉や状況に置き換えて捉えると、
「プレッシャーにどの様に向かい合うか」
ということが大切なテーマとして迫ってくるから面白い。
我々リーダーを取り巻く時代環境は、高ストレス社会と言われている。
そういった中で、今回はイチロー選手に学ぶ取り組みを通じて
深めてみた。
そして、責任・困難・ストレスをただ減らそうと考えるのではなく、
これらを前向きに捉える。プレッシャーを受け止め、
さらには楽しむという、言わばメンタルタフネスが、
リーダーにとって必須の心構えだと強く感じたのである。
なによりも、私の脳裏に強く焼きついて離れないのは、
受講生の方が会場を後にされる際の
「プレッシャーを楽しむ」を身に付けられた、
あの軽やかで爽やかな笑顔
である。
「重圧がかかるリーダーであることを誇りに想う」
「責任というものを楽しむリーダーであり続ける」
という「ものの見方・考え方」を、
理屈だけではなく日常でやっていることの重要性を実感する
素晴らしい体験であった。
あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?
「重圧がかかる選手であることを誇りに想う」
「プレッシャーを楽しむ」
「責任というものを楽しむリーダーであり続ける」
「メンタルタフネス」
1) あなたは、責任・困難・ストレスに、どの様に向かい合っておられますか?
2) あなたはメンタルタフネスをいかに磨いておられますか?
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