先代から経営を引き継いだ当時、日本の商習慣はまだまだ固定観念が強かった。鞄の製造を生業(なりわい)とする当社は、当然のごとく、当社→卸→小売→エンドユーザーという流れで販売を行っていた。
そのような中、転機が訪れた。お世話になっていた卸業者が、倒産したのである。これを契機にこれからは他力に頼る依存型企業では、生き残れないことを痛感した。そして、卸業者を通してではなく、自らが自立して小売店やエンドユーザーに直接販売することを決意した。
ただ、販売網を強化していくに当たり、大手企業の様に豊富な資金力を背景にした広告宣伝や、組織力を生かしたネットワークづくりも不可能であった。
「どうすればいいのか!」と様々な方向性を模索する場面もあった。が、腕の良い職人さんや永年勤めてくれている社員、皮の輸入業者等々に恵まれた事や、専務と二人三脚でやってこれた点が原動力や自信になり、決断は意外に早かった。
| 2 <経営者・リーダーとして、こころにしみたあの言葉> |
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本物の鞄と評価され皇室御用達の鞄やランドセルを納めていた実績から、「わが社の原点・持ち味は確かな品質だ!」と再確認。その瞬間、わが社にしか創れない本物の皮製鞄で「日本一(オンリーワン)を目指そう!」という言葉が鮮明に浮かんだ。
それからは、日々の業務で「これで日本一(の鞄)と言えるだろうか!」を価値判断基準とし、自問自答するのが習慣になっていった。
この結果、「大峡製鞄はこだわりの鞄づくり」というブランドイメージが確立したのであった。
日本橋三越本店をはじめとする小売店直接開拓にとどまらず、インターネット販売においては公開わずか数時間で品切れが続出する等、大峡製鞄を支持するファンが確実に拡大したのである。
いまや日本一どころか世界一をも射程圏内に入れ、着実に夢を膨らませておられるのは間違いない。「本物は本物によってのみ創られる」をバックボーンに、品質第一、顧客第一を愚直なまでに実践し、超優良企業への基盤を築いておられる。
『強小企業』――小さくともキラリと光り輝く企業。そこには、
1)他力に頼らないという経営者の覚悟
2)自社の持ち味を信じ活かしきる力
3)常に原点に立ち続ける姿勢と自省 が必須であること
を実感する素晴らしいご体験談であった。
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